安全な原子炉は夢物語

チェルノブイリ30年 ロシアのジャーナリスト警鐘「100%安全な原子炉は夢物語」

ソ連時代の秘密資料を手に、チェルノブイリ事故の深刻さを強調するヤロシンスカヤさん=モスクワ市内で

 チェルノブイリ原発事故で飛散した大量の放射性物質による被害は三十年たった現在も深刻だ。旧ソ連政権が隠蔽(いんぺい)した放射能汚染の実態を事故直後から暴露し、現在も甲状腺がんを患いながら原発の危険性に警鐘を鳴らすロシアのジャーナリスト、アラ・ヤロシンスカヤさん(63)にチェルノブイリをめぐる過去と現在を聞いた。
  (モスクワ・常盤伸、写真も)
 -チェルノブイリ事故のもつ意味は。
 「放射線が人間や環境にどれほど深刻な影響を与えるか、人間は核の連鎖反応を完全にコントロールすることなどできないことがよく分かった。世界はチェルノブイリ事故の前と後で分けられると言っていい」
 -旧ソ連にどんな影響を及ぼしたのか。
 「当時のゴルバチョフ政権は事故後、国民に平静を呼びかけながら、秘密会議で市民の健康を危険にさらす決定を下していた。私が入手した大量の秘密資料で、指導部は全て知っていたことが明らかになった。政権が巨大なウソをついていたことに国民は体制へ抜きがたい不信感を抱いた。これがソ連崩壊の一因になったといえるだろう」
 -当局が事実を隠さなかったらどうなったか。
 「政府が国民に事実を正確に伝え、汚染地域の住民への薬品支給が敏速に行われていれば、被害はあれほど大きくならなかっただろう。住民に説明があったのは事故から七日後だった。当局のバスを待たずに危険なゾーンから出るべきだったが実際には許されなかった。保健省は被ばく許容量の基準を十~五十倍も引き上げた。それが恐ろしい健康被害を招いた」
 -原発の将来は。
 「核技術は自然に反している。科学は原発事故がなくなる保証を与えない。百パーセント安全な原子炉は夢物語だ。日本のように地震の問題もある。だが国際的に原発ロビーの影響力が強く、脱原発は難しい状況だ。チェルノブイリや福島の教訓が伝わっていない」
 -チェルノブイリと比べ、福島第一原発の事故をどうみる。
 「深刻な事故にもかかわらず、チェルノブイリと比べ国際的反応がはるかに小さかったことに驚いた。福島の事故後、汚染水が太平洋に流出していたのに、米国や日本でチェルノブイリのように大きく取り上げるメディアは少なかった」
 -原発をめぐるメディアの姿勢をどうみるか。
 「メディアはチェルノブイリを五年や十年に一回だけ取り上げるが、すぐ忘れる。常に注目していたら、ロシアなど各国でこれほど原子力産業が復活することはなかったのではないか」
 <アラ・ヤロシンスカヤ> 1953年、ウクライナ・ジトーミル州生まれ。キエフ大学卒。同州共産党機関紙記者としてチェルノブイリ周辺地域を取材し汚染の実態を報告。89年にソ連人民代議員に当選、国会議員として真相解明に取り組む。ソ連崩壊後、エリツィン政権で大統領会議メンバーなどを歴任。現在はニュースサイト「ロスバルト」の政治評論員。近著は「チェルノブイリの嘘(うそ)」(緑風出版)。
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